• テキストサイズ

沖矢昴はお兄ちゃん【名探偵コナンR18】

第8章 盗まれたのは





「怪盗キッドだとっ!?」


「ほ、本物なのか!」


「だが何故ここに」


「きゃーっ、キッド様ぁーっ!!」



ザワザワと様々な声が聞こえる。
声は聞こえるが私の視線は彼に向いたままだった。



「またお会いしましたね、お嬢さん。
いや、この場合はお姫様の方が相応しいかも知れませんね」



そう言ってクスリと笑う彼。
怪盗キッド、本物だ。
彼は日本を拠点とする怪盗の筈だが、わざわざ何故ここに。
疑問が募るが、彼はここに居る、それが答えだろう。



「怪盗キッドっ!!
む、娘を離してくれ!娘は関係ないだろう!!」




彼から視線を外し、下を見るといつの間に数十人のSPだろうか、黒スーツを着たガタイの良い男達が両親を囲っていた。
日本の警察官を束にしても捕まえられないのだ、そんなに人を集めても恐らく捕らえられないのに、なんて思ってしまう程彼は有能なのだ。



「おや?蓮見さん、私は予告状にこう記しましたよ。
『今宵の輝ける主役を頂戴致します』と…」



怪盗キッドから予告状が届いていたなんて初耳だが、これだけ有名視されている宝石だ、狙わない怪盗はいないだろう。
さ、早くコレを持って行って私を解放してくれ…そう思った矢先とんでもない発言が耳に届いた。



「その予告状に従って、本日の主役、姫様ごと頂いていきましょう」



『えっ…』



「な、なんだと!?!?」




反論も何も出来ないまま、ガラスドームになっている天井の一部がパリンと割れる音がし、そのまま再び勢い良く上に登っていくような感覚に包まれる。
いや、実際彼の腕に抱かれたまま上へと登って行ったのだが、状況について行けないのである。
一呼吸遅れて、「つ、捕まえろー!娘を救出しろっ!!」と父の声が響く。



/ 152ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp