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沖矢昴はお兄ちゃん【名探偵コナンR18】

第8章 盗まれたのは





開かれた先に足を進めると、長い階段が下に続いており、その下にあるホールにはこれでもかと言うほど埋め尽くされた人達が居た。
うわぁ…ざっと見て300人超えはしていそうだ、なんて心に思っても顔には出さない。
今日は私とこの憎たらしい宝石のセットでの登場だ、嫌でも笑みを貼り付けなければ。



「凄い人ですね…。
この中の何人が貴方の美しさに見惚れているんでしょう。
まぁ、僕もその1人ですけどね」




そう言ってニコリとこちらに微笑みかけてくる探さん。
ありがとうございます、そう言ってこちらも微笑みかける。
探さんの好意か、はたまた唯のお世辞か分からないが、自身の強張っていた顔が少し和らいだ気がした。



「皆様、今夜の主役、娘の愛香と人魚の涙のお披露目でございます!!
エスコートしていただいている青年は、今巷で噂の白馬探さんです。
盛大な拍手をお願い致します」



父の言葉によって会場から割れんばかりの拍手が贈られる。
正直うるさいので、早く下に降りてこの音を止めて欲しい。




「愛香さん、鼓膜が破れる前に下に降りましょうか」




どうやら探さんも同じ事を考えていたようだ。
あれ、もしかして意外と探さんは毒舌なんだろうか←
いや、この際どっちでもいいか。



両親が待つ所へ、ゆっくりと階段を2人手を繋いで降りて行く。
降り注ぐ視線を無視してやっとのこと、この長い階段を降り終える。
降り終えた所でピタと拍手も鳴り止んだ。
心の中でひと息つく。
この高いヒールで降りるだけでも一苦労なのだ。




「それでは皆さま、ごゆるりとお楽しみ下さいませ」




母の一言でシンとしていた会場が活気に包まれる。
これからが、更に大変だ。
きっと挨拶やらこの宝石の鑑賞やら何やらで、沢山の人が訪れるであろう。
誕生日なのにこんな苦労をしなきゃいけないなんて、帰ってこなきゃ良かった、本当そう思う。





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