第8章 盗まれたのは
今日パーティーを開くのは凡そ300人程は入るであろうダンスホール。
所謂よく絵本とかで出てくるようなホールだ。
下に大きく広いホールがあり、上へと続く両開きの長い階段があって頂上に大きな扉がある。
説明しなくてもなんとなく分かるだろうか?
まさに王宮か!って感じの造りだ。
父と母の仕事柄、こういったパーティーも何度か開く為家の敷地に作ってしまった、って感じだ。
私も小さい頃何度か参加した事があるが、疲れる記憶しかない。
今日も疲れるのを覚悟するしかないようだ。
「お集まりの皆様…」
お、父の声だ。
どうやら始まるようだ。
「本日はこの場にお集まりいただきありがとうございます。
今日は娘である愛香の誕生日であり、この世に2つとない宝石である人魚の涙のお披露目であります。
色んな地方の料理や音楽もご用意しておりますので、どうぞお楽しみ下さい。
では、娘の登場です」
相変わらず登場のさせ方が仰々し過ぎませんか…。
私は何処ぞの王族ですか←
「愛香さん、行きましょうか」
あ、ここに探王子は居たわ。
凄い、デフォルトでこんなキラキラさせるなんて…って冗談は後にしてっと。
さて、いざ戦場へ。
『えぇ、行きましょう』
差し出された手を取り前を向き、歩き出す。
それに合わせて両開きの扉が開かれた。