第8章 盗まれたのは
…え、私の親は馬鹿なんでしょうか…。
私の誕生日にコレを付けて出席…コレを目当てに来るお客も居るはずなのに…。
見世物が更にグレードアップした見世物になるじゃないですかっっ!!!
あからさまに嫌そうな顔をして父を見る。
さぁ、この顔で私の気持ちを汲み取ってくれ、親でしょう!
父は私の顔を見てニコリと笑った。
「コレ付けたら更にこのパーティーの主役に相応しくなるなぁ、もうそこら辺の女性なんて目じゃないぞっ!流石俺の娘っっ」
はいっ、全然私の気持ち汲み取ってくれませんでした。
そしてそのまま自ら私の背後に回り首元にそのネックレスを着けられた。
ドシッとしたかなりの重量が私の肩にかかっている。
これはもうネックレスの重さではない、絶対明日の朝には肩凝りが凄い事になっているわ、コレ。
『お父さん、コレ高いのよね?私なんかが着けたら勿体な…』
「だからこそお前が着けるんだ!コレに値段をつけるなら国の1つや2つ余裕で買えるからな…お前にはそれ以上のそんな価値があるって見せ付けてやるのさっ」
ダメだ…もう何を言っても無駄だわ。
元から父は人の話を聞かない人なのだ、真っ直ぐと言うか何と言うか…。
まぁその性格で成功を収めているのだから何も言うまい。
説得は出来ないので、自分が諦めるしかないようだ。
仕方ない、私の誕生日パーティーも父がセッティングしてくれたのだ、父の好きな通りにさせよう。
「とてもよくお似合いです。
貴方の瞳の色とも合っていて、まるで貴方の為だけに造られたようだ」
『ありがとうございます…』
この私達の様子を見てニヤニヤしてる親は放っておこう。
「旦那様、奥様、そろそろお時間です」とメイドの声によってこの場はお開きになった。
先に父と母が招待客が集まっている所へ顔出しして、私の紹介をするらしい。
なので私と探さんはこの大きな扉の前で待機だ。