第8章 盗まれたのは
「とりあえず、これを」
『…?』
そう言って離れた安室さんが懐から1枚の紙を取り出し渡された。
開いてみるとそこには11桁の数字が書かれていた。
「僕の連絡先です。
新しい携帯に登録しといて下さい」
え、凄い用意周到ではないですか、安室さん。
そして新しい携帯があるであろう事も把握済み…!?
これが探偵というものの力ですか←
『ありがとうございます…』
「本当は今すぐにでも貴方を連れ帰りたい所ですが、僕は今やらなければならない事がありますので…不本意ですが」
本当に不本意そうに顔を歪めている安室さん。
顔歪めてもイケメンって狡いよね。
そんな事を考えていると、バッと強い力で抱き寄せられ激しいキスをされる。
『んんっ……!?!?』
そのまま口内を舌で犯され、布越しに秘部を彼の指で愛撫される。
突然の事に頭がついて行くことが出来ず、混乱する。
『ぁっ…んんん…ふっ…』
「バーボン、そこで何をしているの」
『…っ!?!?』
ただただ彼から与えられる刺激を堪えていると、少し遠くの路地の出口辺りからだろうか、女の人が話しかけてきた。
この声、話し方やコードネームで呼んでいるって事は…!!
彼の背になって隠されている為良く見えないが、あれはやはりあの時の組織の人間…ベルモットだ。
やはり安室さんが居るって事は誰かかしら組織の人間が居るとは思っていたが、まさかここで出くわすのは…。
あの時は変装をしていたが、彼女は変装のプロフェッショナルだ。
今のこの顔を見られるだけで、この間の私だと気付かれるに違いない。
そう思い、唇が離れた瞬間に彼の腕の中に隠れる。
それに気付いたのか、小さな声で優しく大丈夫です、と言いクルリと身体を反転させられてそのまま背を押される。
「おや、ベルモット遅かったですね。
情報は手に入りましたか?」
「えぇ、居場所は特定出来たわ。
バーボンその子は…」
「貴方が遅いので、可愛い子猫と遊んでいただけですよ。
待っているだけと言うのも暇なのでね」