【安室透】奇妙な客人がやって来るのは、この霊感のせい?
第1章 奇妙な依頼人【出会い】
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「こんにちは!栞さん!」
彼の名は江戸川コナン。眠りの小五郎で有名な探偵事務所に居候している不思議な──いや厄介な少年だ。
コナンとはある事件をキッカケに、理由は知らないが付き纏わられるようになった。恐らくは私の霊感に興味を示したのだろうけど。
その事件については別の機会に語ることにしよう。
「……あのね、コナン君。一応言っておくけど、ここはお悩み相談所じゃないのよ?」
「あれ?僕まだ何も言ってないよ?」
「言わなくても顔に書いてます」
コナンが私の店に来る理由は、本を読みに来るか雑談という名の探りを入れに来るか、或いはオカルト絡みの事件や人の悩みを私に相談しに来るかのどれかだ。
今回のコナンの笑顔には明らかに何かを企んでいる時の表情だ。彼から要件を聞かなくても、分かりたくないが分かってしまう。
ただ、私はお願いされたら断れない性格だ。最終的には解決にまで力を入れようとしてしまう──きっと彼もそれを見越した上で私にバシバシと依頼をしてくるのだろうけど。
「うーん……まあ、それなら話は早いよ!」
「いや早いって……」
しかし、私の呟きは店内に鳴り響いたドアベルの音で掻き消されてしまった。
吸い込まれるように扉の方へ視線を向けると、金髪の目立つ褐色の肌の男性がコナンの後ろに立っていた。
「紹介するね!この人は安室さん。栞さんに相談したいことがあるみたいなんだ!……ね?安室さん?」
「ええ……どうも。喫茶ポアロでウェーターをやっております。安室透です」