【安室透】奇妙な客人がやって来るのは、この霊感のせい?
第1章 奇妙な依頼人【出会い】
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「……どうかしたかい?」
「安室さんってさ……たまに肩とか重くなる時ってない?」
コナン君は真剣な顔で僕に尋ねてきた。彼の手には空のコーヒーカップが握られていた。貸して、という意味でそのコーヒーカップの側面を爪で鳴らした。
「急に何を言い出すかと思えば……そうだね。何かに肩にのしかかられているような痛みは感じるよ」
「安室さんそれほんと!?」
どういう訳か僕の言葉に反応したコナン君は、カウンターテーブルを勢いよく叩いて立ち上がった。注いだコーヒーがその振動に合わせて揺れる。
「本当だけど……ってなんでそんなに嬉しそうなのかな?」
熱い眼差しで僕を見詰めるコナン君の目は、まるでクリスマスプレゼントを貰った時の子供のようだ──いや子供なんだが。
彼がこの輝かしい目をしている時は大体何かとんでもないことを企んでいる時だ。僕は身を強ばらせて警戒する。
「ねえ、その疲れ……早く治したい?」
「そ、そりゃあ治したいけど……一体今度は何を企んでいるんだ?」
「安室さんに是非とも会って欲しい人がいるんだよ!」
「……会って欲しい人……?」
それは誰かと聞く前に、コナン君が「行けば分かるよ!」という言葉で遮り、更には奥の倉庫に掃除に出ている梓さんに「ちょっと安室さん借りるね!」と叫んでいた。
ちょっとで済む気が全くしないのだが──僕はコナン君にエプロンを外すように促されながら思った。
後で梓さんに謝ろう。
【奇妙な客人がやって来るのは、この霊感のせい?】