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【安室透】奇妙な客人がやって来るのは、この霊感のせい?

第1章 奇妙な依頼人【出会い】












「安室さん、大丈夫……?」


 呼ばれた声にハッとして我に返る。声のした方に顔を向けると、カウンター席でコナン君が心配そうに僕を見詰めていた。


「あ、ああ……ごめんね。少しボーッとしてたよ」


 大丈夫だよ、と安心させるためにコナン君の頭を撫でてやると、彼は注文したオレンジジュースを飲むのを再開した。視線は僕に向いたままだが。

 僕らしくない。

 ポアロでは特に常日頃から笑顔でいることを心掛けているつもりのはずがコナン君に指摘されてしまった。何故か妙に調子が乗らない──他の客からは聞こえないように溜息を吐いた。


「疲れが溜まってるみたいだけど、ちゃんと休んでる……?」

「もちろん」

「……ほんとにぃ?」

「は……疑い深いな。当然だろう?第一身体が持たなければ仕事にならないからね」


 嘘はついていない。休息は適度に取っているつもりだ。徹夜は以ての外、休める時に休むメリハリはつけている。

 しかし、ここ最近はどんなに休んでも疲れやストレスが落ちない。むしろ悪化してるとさえ言える。


「でも今すごく疲れてます、ってオーラ出てるよ」

「……」


 ぐっ、と言葉を詰まらせた。これには何も言い返せない。

 自分でも疲れが溜まっているという実感はある。実際に仕事にも影響が出始めているのだ。昨夜の組織の任務終わりにはベルモットに「貴方ちゃんと寝てるの?」と、コナン君と似たようなことを言われてしまったばかりだ。

 だが、公安として働き始めてこの生活習慣で成り立っている中で、今更身体が持たなくなったということはないはずなのだが。自分の体調管理も個人的にきちんとしている。

 原因が分からない以上は、今まで通り過ごしていくしかない。仕事柄それ以上の休みは取ることは難しい。

 しかし、このままにしておけば梓さんに「安室さんはJKの中ではアイドル的存在なんですから、早くその負のオーラを放出するのは止めてください!」と叱られ兼ねない──頭を悩ませていると、コナン君の方から先程よりも強い視線を感じた。

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