第1章 *御幸一也 『手取り足取り』
御幸side
目の前のこいつは何も分かっていない。
普通、彼女が他の男と二人きりなんて、嫌に決まってるだろ。
昼、倉持がそんな俺を読み取ったのか、部活終わりの音葉とのこの時間を俺に譲ってくれた。
『あの〜、御幸〜?教えるって何をですか〜?』
冷や汗をかく音葉。
これから怒ることを何となく分かっているんだろう。
「安心しろって。頭は使わねぇから。」
『頭使わないって、ちょっ!』
困惑しているこいつを抱き上げ近くのベッドに寝かせる。
この部屋は音葉だけ。だから二段ベッドではなくシングルベッド。
これからすることがやりやすい。
『え?え?なんでベッド?』
「無防備過ぎるんだよ。」
いくら倉持といえど、密室に二人きりは無防備過ぎる。
男心を分かっていないこいつに教えてやらねぇと。
体で、な。