第2章 *倉持洋一 『彼シャツ』
貴方side
「今雨弱まってるから、マネージャーもう帰っていいって。」
御幸からそう言われると、幸子が
「せっかく来たの意味ないじゃん。雨の馬鹿野郎!」
と、雨に罵倒。
「ヒャハハ!帰り濡れないようにな!」
「いや、榎本はもう濡れてね...?」
御幸の立ち位置からだと見やすいのか、苦笑いをしながら言われる。
『あー、うん。傘忘れたんだよね。』
さむ...。と言いながら、腕をさする。
「ばっ、お前!なんでそれ先に言わねぇんだよ!風邪ひくだろ!?」
『いや見たらわかるでしょ...。』
「あれ〜?倉持さん。もしかして彼女が心配〜?」
ニヤニヤとする幸子に、倉持は顔が赤くなる。
「でも、このまま帰ったら完全に風邪ひくな。」
着替え持ってきてるか?と聞いてくる御幸に、Noと伝えると、困ったなー。と返される。
「...あ、でも馬鹿だから風邪はひかないか。」
『ちょっと、御幸?そういえばそうだったみたいに言わないでくれる?』
はっはっ。と笑う御幸に1発殴る。
「シャワー浴びてけよ。」
いてぇ...。と嘆く御幸をよそに、倉持が提案する。
『着替えないし、帰ったら浴びるから大丈夫!』
「あんた家遠いでしょ。...あ、着替え倉持に借りたら?」
『そうだね、やっぱ、シャワー浴びてから帰ろ。』