第2章 USJ
ヴィランは峰田くんのもぎもぎにくっつき、離れられないようだった。
梅雨ちゃんがヴィラン達から離れたところで、下ろしてくれた。
「あれで全員だったのは運がよかった。すごい博打をしてしまっていた。普通なら念のため何人かをムグ」
出久くんの止まらない口を手で抑えて無理やり停めさせた。
『深く考えない考えない!何はともあれ、出久くんの作戦のおかげで、突破できた。ありがとう。』
「いっ!!いや!僕は、そんなっ」
『私、震えてたの。』
「・・え?」
『生まれて初めて目の当たりにするヴィランに、とても恐怖を覚えた。震えが止まらなかった。私、ヒーローになれないと思った。』
「そんなことなっ」
『でも、出久くんの目を見ていたら、私も戦わなきゃ!オールマイトを守らなきゃ!って思えたの。だから、ありがとう。』
私をヒーローにしてくれて。
そう言うと、出久くんは黙って俯いた。
「・・最後に決めたのは、君だ。夢翔ちゃんだ。いくら僕が作戦を考えても、実行するのは、夢翔ちゃんの判断でしょ?だから、君の意思だよ。」
真っ直ぐな出久くんの瞳に、またもや自信をもらった気がした。
「相澤先生、やっぱり僕らを守るため、無理を通して敵の群れに飛び込んだんだと思うんだ。」
「おい・・・まさか、緑谷・・・!!」
「・・・うん。」
「ばかばかばか!!!」
出久くんは、行く気だ。相澤先生が戦っている広場へ。
『私も行く。』