第1章 春
イモムシのような人の言葉に促されるまま、緑谷は座席についた。
「、、、(あれ?そういえば、名前聞いてない)」
彼女がどこの席なのかと見ようとしたが、幼なじみの威圧が邪魔をする。
かっちゃんが斜め後ろとか、、、ついてない。あの綺麗な人もどこに座ってるか確認できなかったし、、
はぁ。
ため息が零れた。
「はい。静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性にかけるね。担任の相澤消太だ。よろしくね。」
なんてお茶目な発言に「「「担任?!」」」と多くの生徒が驚いた。
それにしてもあんなくたびれたヒーロー見たことがない。
自分の持つ多くのヒーロー記録を片っ端から思い出すも、それらしき人は引っかからなかった。
「早速だが、これを着てグラウンドにでろ。」
担任から一人ひとり、体操服を受け取った。
相澤は何を言うわけでもなく、そのまま教室をあとにした。
「っ、やばくね?もう行ってるんじゃね?!」
という赤髪の男の人に釣られて、更衣室へ移動するようになった。
トントン
急に肩を叩かれ、振り向くと
『席、前で嬉しかった』
と微笑む綺麗な人がいた。
前?!?!?ぼ、僕が前?!?!?
ってことはさっき探そうとした時、真後ろにいたのか?!?気、気が付かなかった!?!?!
などと頭の中で忙しなく考え事をしていると
『また何か考えてるの?』
優しい目で話しかけてくれた。あぁ、なんて綺麗な人なんだろう。
「ちょ、ちょっとだけ。なんていうか、こんな綺麗な人が後ろの席できんちょ」
まで言って舌を噛み切りたくなった。と言うか噛んで言葉をとまらせた。
視界を手で隠しながらあたふたなってしまう。。あぁ、かっこ悪い。
何言ってんだ僕!!!!!初対面に近しい相手に綺麗な人とか思わず本音が?!?!!!!間違いなく気持ち悪いとか思われ
ぎゅっと閉じた目から彼女の表情を見ると、赤く染まった顔で驚いたような顔をしていた。
『あ、ありがとう』
視線を逸らした彼女は、あまりにも綺麗で。
「おい。クソデク。てめぇそこどけや」
とデジャブのような景色が映りこんだ。
しかし違ったのは
「はよ行くぞ。」
とかっちゃんが綺麗な人の腕を引っ張ったこと。
え"?!?!かっちゃ
『え?なに?』
「うっせぇ!さっさと歩けやクソ女!」
『え、ごめんヴィランくん。』