第1章 春
『だ、だって勝己くんが獣だからっ!!』
「け、けだもの!?かっちゃんなにし」
「んもしてねぇわ!クソが!!」
『あ!嘘ついてる!!出久くん!嘘ついてるよ!勝己くん!!!』
「え!?え!?」
「てめぇそのうぜえ面はよ引っ込めろや!!!!」
勝己くんが両腕をBOMBOM言わせたところで勝己くんの腕を引っ張った。
『ここ私のお家だから!!燃やさないで!!』
「あぁ?!てめーがいらん事ばっか話すからだろうが!!!」
『だ、だって』
「ま、まぁ、まぁ。」
出久くんが来たことによって、貞操的危機は逃れたはずが、家の危機を感じる。
燃やされる!!
「あー。クソデクの顔見たら萎えたわ。帰る。」
勝己くんはさっさと部屋に鞄を取りに行って「どけ!!クソデク!!!」
と出久くんを蹴散らせて帰って行った。
「・・な、なんか、ごめんね。」
『いや、私はお礼を言いたいよ。ありがとう。出久くんが来なかったら本当にいろいろとヤバかったし』
勝己くんは部屋に入れないようにしよう。うん。
と1人で意気込む夢翔ちゃん。
「ねぇ夢翔ちゃん。」
『ん?』
「ぼ、僕だって、男、だよ」
出久くんは目を泳がせながらそういった。
『??しってるよ?』
・・絶対、知ってない・
だって、こんなにも今、君に触れたいと思っているのに。
『でも、出久くんは女の子が泣くような子としないと思うからさ。』
「?かっちゃんは夢翔ちゃんを泣かそうとしたって事?」
『んーーーそうだなぁ。出久くんがもう少し遅く来てたら、泣いてたかも。』
苦笑いをした彼女に胸が締め付けられた。
かっちゃん、何やってるんだ。
君が夢翔ちゃんに好意を寄せていることなんて、とっくに気づいてる。
雄英の中で、彼が名前を呼ぶのは夢翔ちゃんしかいない。
そんな分かりやすい君は、好きな女の子を泣かせるのか。
僕は
「泣かせない。」