第1章 春
『え・・』
「・・・あ?」
『笑った。』
「てめえは俺をなんだと思ってんだ」
『プライドつり目才能マン野郎』
「・・そんなに今すぐ眠りにつきたいか」
『嘘です!!ごめんなさい!!!』
焦凍くんといい、勝己くんといい、なぜこうも笑いに乏しい人が集まってるんだ。なんて雄英高校を不思議に思ったことがあるが
2人とも笑える表情筋は残っているようだ。
『そっちのがいいよ』
「うるせえ。さっさと食え。」
『無理無理死んじゃう。』
勝己くんは無理矢理私にカレーを食べさせようとスプーンを向けてくる。あれを食べたら負けだ。死ぬ。
私は仕方なくサラダだけを食べた。
「っは。ウサギかよ」
『寂しくて死んじゃう』
「ッブ!!」
突如ぼけた私に驚いたのか、勝己くんは吹いて笑い出した。
『意味わかんない』つられて私も笑顔がにじみ出た。
「夢翔、まぁまぁおもしれえ」
『まぁまぁは余計だわ』
互いにごちそうさまをすると、勝己くんが食器を洗ってくれた。
出久くんに続いて勝己くんもいい旦那さんになりそうだ。
そんなことを思いながら頬を緩ませた。
ッと、ここで私は思い出した。
そういえば、この前、キスされなかった?!
ッハ!!!!!!!
気づくのが大分遅くなったが、確実にこの前キスされた。ここで!!!!
え?ほんと?まずくない?これヤバくない?
ひとりでに冷や汗が流れてきた。
「夢翔」
『・・な、なに・・?』
一歩、後ずさる。