第1章 春
「ったりめぇだカス!!!!・・さっさと帰んぞ」
勝己くんはそう言って歩き出した。
え!?私鞄も何も持ってないのだけど?!?
「夢翔ちゃん、、、いつから」
『え??えっと、おれはこっからだ!!って勝己くんが叫んでるところらへん。』
「・・そっか」
「ッさっさとしろや!!!!」
『だって鞄ない!!!!』
「そんなん明日で良いだろうが!!!!」
今日は落ち込んでる勝己くんに免じて、そのまま帰ることにしよう。
初めて見たし、涙。あって4日くらいだけど。
『出久くん、また明日』
「え!鞄良いの?!」
『うん。勝己くん怒ってるし』
「・・じゃあ、後で家に鞄持って行くよ」
『え!!良いよ!そんな悪いし!!!』
「僕がしたいだけだから」
「てめぇ置いてかれてえのか!!!!」
ギャンギャン叫ぶ人を見て
ごめんね、出久くん。と勝己くんを追いかける。
『置いていきたくないくせに。』とぼそりとつぶやいた。
「あ”あ”?!黙って家かえんぞ!!!!!」
まるで我が家かのように言う勝己くん。向かっているのは私の家だと気づくのに5秒もかからなかった。
まぁ、落ち込んでるみたいだし。
そんなことお思いながら
『お疲れ様』
「ぁ?」
『かっこ良かったよ。』
「うるせぇ。」
俯いた勝己くんは、夕焼けのせいか耳が赤くなっているように感じた。