第1章 春
リカバリーガールがベットから離れると
『・・ん』
綺麗で長いまつげが少しだけ動いた。
『ぁ、出久くん!起きたんだね。よかった。』
そう言って笑う彼女。心配かけたんだろうな。
綺麗な寝顔だったな。触れておけばよかった。
「ご、ごめん。先に帰っててもよかったのに」
『心配だったから・・・だめだった?』
あぁ、そんな顔で見つめないで。
だめなわけない。すごく、すごく嬉しいよ。
「今日の治癒はここまでだからね。明日も来るんだよ。」
リカバリーガールにお礼を言って頭を下げて部屋を出た。
『まだ痛い?』
「少しだけ。大丈夫だよ。」
『それならよかった』
そう言って笑うと頬を染めて出久くんは目をそらした。
A組に帰ると、クラスの人が出久くんを囲んだ。
「何言ってるかわかんなかったけど、お前ら熱くてかっこ良かったぜ!!」
「入試1位の爆豪と互角に渡り合うなんてな!!」
「よく避けたよ!!」
「目の前であんなのやられたから俺らも力はいっちゃったぜ!!」
「エレガントには程とお」「よく避けたよ!!!」
出久くんが囲まれているのを見て、なぜか私が嬉しくなった。
「それに夢翔なんかさ、緑谷が心配で心配でって感じでな!!」
「授業終わって速攻緑谷のとこ言ってたんだぜ!!」
佐藤と瀬呂が茶化すように言う。
「っえ、そうだったの?」
『だ、、だって、あんなの見たら、心配しない方がおかしいじゃん・・っ』
目の前には顔を真っ赤にして目線をそらす女の子。
誰もが「「「「おっふ・・」」」」となった。