第1章 春
『失礼します。』
「おや、怪我かい?」
『・・いえ、緑谷くんの様子をうかがいに来ました。』
「あ~、緑谷ね。右側のベットで寝ているよ。」
『ありがとうございます。』
リカバリーガールは、私をチラッとだけ横目で見て、緑谷くんのベットを教えてくれた。
『し、しつれいしまーす。』
なんて緊張じみた声を出しながら、遮られているカーテンを開けた。
腕には管が通してあり、すでにギプスのようなもので巻かれていた。
「まったく。この子も無茶のしすぎさね。」
リカバリーガールは心底ご立腹のようだった。
「この子はね、入学してすでに三回こんな治癒を受けているんだよ。」
・・私に話してくれているのか。と耳を傾けた。
「治癒にも限界がある。こんな怪我が続けば、緑谷の腕は使い物にならなくなるだろう。」
『っそんな!!』
「だから、仲間をちゃーんと見張っててやんなよ。」
リカバリーガールはシャーッとカーテンを開けて、はい。飴ちゃん。と懐かしい感じるピンクの四角い飴が2つ入っているキャンディーをくれた。
『ありがとうございます。』