第1章 春
試合を見て震えた。
今まで、”戦う”ことをしてこなかった私は
”戦う”ということを、客観的に考えすぎていたのかもしれない。
友人が戦う姿は、私を震え上がらせた。
出久は、担架でリカバリーガールの元へと運ばれた。
私も行きたい。
その衝動を抑えて、勝己くん達が帰ってきたモニタールームで講評を行った。
結果は飯田くんが立場をわきまえていたとなり、私利私欲に走った2人の評価は、やはりよくなかった。
「さぁ、次の試合だが。
小日向少女、どうする?」
オールマイトからの視線と、咳払いに『次の試合に出させてください。』と申し出た。
「ヒーローヴィランも選べるが、」
『んと、じゃぁ、ヴィランで』
そう言って口元をゆるませた。
さっきの講評の結果、ヴィランになりきっていた飯田くんがBESTだった。
ならば、私も、ヴィランになりきらなきゃ。
『尾白くん、葉隠さん、こんな私だけど、よろしくね。』
「んーん!!夢翔ちゃんと一緒だなんて!心強いよ!」
「頑張ろう。」
『ふっふっふーーさぁ来い!ヒーローめぇ』
「・・(それヴィラン・・?夢翔さん可愛い・・)」
「よし!ちょっと私本気出すわ!!」
葉隠さんはそう言って手袋とブーツを脱いだ。
『え?ほんと?ってことは・・・スッポンポン?!』
「夢翔ちゃん古いな!!っていうか、2人とも、見ちゃだめだからね」
「『いや、見えないし』」
尾白くんと声が重なり、試合がスタートした