第1章 春
『あ、でもお箸ないから、お箸だけ持ってきて!』
「?なんで持って行くんだ?」
『私の家にお箸おいといて、いつでもご飯食べに来ても良いように!』
何でそんなことを、そんなきれいな笑顔で話すんだ。
惚れない奴はいないだろう。胸が痛い。
「あぁ。分かった。必ず持って行く。」
『あ、焦凍くん、わらった。』
「・・?」
『そっちの方が、好きだな。』
今日のざるそばは、いつもより少しだけ暖かい。
おかずは卵焼きをもらった。素直においしかった。
学食から帰ると勝己くんが暴れていた。
「やっと帰ってきたなぁ・・この半分野郎」
「・・・。」
「どうだ?初めての学食デートはァ」
「楽しかったし今度家に行く約束もした。」
「ああ?!てめ、夢翔!!勝手に男家に呼ぶなっつったろうが!!!!」
『いやそんなこと聞いてないよ!!おとうさん?!』
「とにかくてめえが家に来るのはキャンセルだ」
「お前に言われる筋合いはない。俺の勝手で夢翔の家に行く」
BOM,BOM,勝己くんの沸点は低い。
『まぁまぁ、もう喧嘩はやめて?ね?』
「うっせえ!元凶はてめえだろうが!」
『もう勝己くん出禁にするから』
「静かにすりゃあ良いんだろうが!!!」
プンプンと言うよりブンブン怒りながらドカッと自分の椅子に座っておとなしくなった爆豪に、全クラスが驚いた。
「「「「(猛獣使いかよ・・)」」」」