第1章 春
『や、やだって言ったら・・?』
「お前に権利はねえ」
あっさりと手を外されて、噛みつくようなキスをされた。
『だ、だから、初めてだからはずか、』
「うっせ。」
再び、柔らかいキスが落ちてきた。もっと痛いと思ってた。強引に力強くしてくると思ってた。
でもその触れるだけのキスは、とろけるように優しい。
『か、勝己くん』
「勝己」
『か、・・・かつき』
ちゅ
腰にと後頭部を支えられて、逃げようにも逃げられないのだが、不思議と嫌な気持ちはしない。
勝己が腰に回していた手が、お腹をさすり、お腹よりも上に動き出す。
ちょ、それはっ
「おい爆豪!!!!早く出てこいよ!!!!」
玄関から切島君の声が聞こえてきた。
「ッチ。邪魔ばっかりイライラする」
目がつり上がり始めた爆豪に思わず笑いが出た。
『いつでも来て良いよ。』
「だから今も居ようとしてんだろが!!」
と怒り散らす爆豪に笑いがこみ上げて止まらない。
『wwwwはー、もう面白いな。』
「わらってっと続きすんぞ。」
『誠に申し訳ございませんでした』
スライディング土下座の勢いで謝ると爆豪はフッと笑って
「また来る。」
そう言って勝己くんは部屋を出て行った。