第1章 春
「いや、でもさすがに迷惑だと思うしおれ帰るよ。」
と切島君が切り出した。
「俺は爆豪と一緒に」
「帰れクソモブども!!」
「いや、お前の家じゃねえだろ!?」
言い合いを始めた二人にドードーとなだめを賭けに入る。
「夢翔ちゃん、昨日も今日もありがとう。」
『わたしこそ!みんなのおかげで本当に楽しかった。』
ニッと笑うと、未だに慣れない彼女のきれいな笑顔に男子陣は頬を染めた。
「おい。何勝手に帰る雰囲気にさせとんだ!」
勝己くんが怒る中「お前も帰るぞ~」と切島君が勝己の荷物を持って出ていく。
お邪魔しました。またくるわ!
なんて言いながら出て行く友だちに手を振った。
勝己は一人リビングに残っている。
『?荷物、行っちゃったけど良いの?』
「言われんでも行くわカス。」
暴言を吐きながらも手を引っ張られる。
「本当は今日お前と二人の予定がぶち壊しじゃねえか。」
と腰に手を添えられて引き寄せられた。
突然の行動に驚きを隠しきれず、思わず頬に熱が集まるのが分かる。
「なんだ。お前はこんなんでも照れんのかよ」
『し、しらないし。』
「その生意気な口塞いでやるよ。」
勝己の唇が近づく。とっさに勝己の口を手で防いだ。