第1章 春
緑谷の表情が曇った。
『う、うん。でも、勝己くんだけじゃなくて切島君とか雷くんとか瀬呂君も居るよ』
「・・なんだ。そうだったのか」
緑谷くんの元気が一瞬にしてなくなったように見えた。
『あ、じゃぁ緑谷くんも来る??』
「ア”ァ?!!!んでそうなんだカス!!!!!」
『え!!だって、切島君が”人数多い方が楽しい”って!!!』
「・・・あんのクソガミ。殺す。」
口論の末、とばっちりがとんできた切島はそっと教室から離れた。
BOM,BOM
爆豪の怒る音が聞こえる。
「夢翔ちゃんがいいなら、僕もお邪魔しようかな」
「・・・(なんっでこうも邪魔ばっかり増えんだクソが!!!)」
『もちろん!じゃぁ一緒に帰ろうか。食材6人分もないから買って帰っても良い?』
「ったりめぇだわ。」
「荷物は僕が持つよ」
「うっせ。てめぇは後ろをついてきとけ!荷物は俺が持つ!!!」
二人の喧嘩に目がほそまるA組だった。
それから、雷くん、切島くん、瀬呂くんも呼んで一緒に帰ることになった。
「ってか、6人分も皿とかあんの?夢翔一人暮らしだろ?」
といった瀬呂くんに家にあるお皿の枚数を数える。
『お皿は形が違うものだけどあるよ。・・あ、お箸がないかも』
箸も買わなきゃな~とぼやきながら商店街を歩く。
「あ!なあ、ここに雑貨屋あんじゃん!!箸あるんじゃね?」
といった雷君の提案に乗り、橋探しを始めた。
とても可愛い雑貨ばかりで、気持ちが高まる。
「いろんな種類あんじゃん」
箸がずらりと並ぶ棚に全員で選ぶように見つめる。
「俺はこれだな」
「お、これ俺らしい!」
「僕はこれかな」
「俺これがいいわ!」
「いいじゃん」
それぞれが自分の箸を選んだ。
勝己くんは黒
雷君は黄色
緑谷君は緑
切島君は赤
瀬呂君はオレンジ
この箸を見るたびに俺/僕のこと思い出したら
そんなことを思いながら買った。