第1章 春
放課後
「夢翔ちゃん、も、もしよかったら、一緒に帰らない?」
振り返った出久君が話しかけた言葉を聞いて、ヤバい・・・。と冷や汗が流れた。
『え、えーっと』
「おい。クソデク・・。クソモブ野郎が一緒に帰ろうだぁ?!ふざけんのはてめえの脳みそだけにしやがれ!!!」
「えっ、か、かっちゃんが何でそんなに怒るの?!」
「てめぇには関係ねえんだよ!さっさと一人で帰れやカス!!!」
あ~ぁ。また喧嘩が始まった。と思ってため息を吐いた。まぁこのくらいで出久くんが謝っておしまいかな。と考えていたら
「かっちゃんには、関係ないよ」
出久が反撃を始めた。目が飛び出るかと思った。いや、1㎝くらい出ていたかもしれない。
「ア"ァ?!」
「ぼ、僕は、夢翔ちゃんと一緒に帰りたいし、一緒に帰るかどうかは、夢翔ちゃんが決めることだ、し」
どもりながらも真っ直ぐ。爆豪から視線を外さずに口論する緑谷。
周りも思わず二人の口論を見つめた。
「うっせぇんだよ。モブはモブらしくぼっちで帰宅しろや!」
「夢翔ちゃん、誰と一緒に帰る・・?」
「おい。無視してんじゃねぇ!!」
『えっ!!そんな急に・・』
話を振られると同時。クラス中の視線も自然と私に集まった。
「はよ言えや。”今日は勝己くんと一緒に帰ってご飯食べるんです”ってな!」
「・・え、そうなの?」