第1章 春
次の日
『おはよう。』
教室に入るともうほとんどの生徒がそろい、談笑していた。
『出久くん。おはよう』
「っお、おはよう!夢翔ちゃん!!」
今日から突然、名前呼びになった二人に周りがざわつかないわけがない
「え!!!」
「何々!?いつの間にそんな関係に?!」
「おい緑谷~!お前昨日まで名前知らないとか言ってたくせによ~」
芦戸さんがグイグイと距離を詰めてくる。
雷君はなぜか泣いていた。
「私!!!私のことも三奈でいいから!!」
「俺も!!電気で!!!」
ガヤガヤと下の名前で呼んでくれ!!と抗議する二人に苦笑いを浮かべていた。
「焦凍」
・・・・。
一瞬、クラスの空気が固まった。
「小日向、俺のことは焦凍でいい。」
初めて、話しかけられたんだけども・・・。
と思いながら
『じゃ、じゃぁ、私のことは夢翔で、いいよ?』
「あぁ。分かった。」
焦凍はそう言って自分の席に帰ってしまった。
「こうやってイケメンは得をしていくウウウウ!!!」
電気君の悲しそうな悔しそううな声が響いた。
チャイムが鳴り、授業が始まった。
あぁ。名前呼びが特別で。昨日までは僕だけの優越感だったのに
なんて考えながら授業を受けた。
雄英校でのカリキュラム
午前は必修科目。英語などの普通の授業を受ける。
昼は大食堂で一流の料理を安価でいただける。
「夢翔、一緒に食わねえか?」
『焦凍くん、』
「焦凍。」
『しょ・・・焦凍・・。』
恥ずかしい。
『わ、私あまり呼び捨てにしたことなくて、だから、何というか、恥ずかしい』
「・・・それはそれでいい。」
いや、何が?!
と思ったがまぁ深く考えないでおこうと思った。
『私お弁当なの』
「そうか。なら仕方ないな。」
そう言って去ろうとした焦凍に
「どけやカス!!!」
と爆豪君が押しのけてきた。