第1章 春
『「ごちそうさまでした」』
パチンと手を合わせて互いの顔を見合わせて微笑んだ。
あ~。幸せだ。
「洗い物は僕にさせて」
『え!?いいよ!お客さんなのに』
「こんなにおいしい料理を作ってくれたのにお礼をしないのは失礼だと思うからさ、これくらい、させて?」
と私が持とうとしたお皿を緑谷君が重ねて水道まで持って行き、洗ってくれた。
『ありがとう。緑谷君。』
「こちらこそありがとう。」
『・・なんか緑谷君ってさ』
ダイニングテーブルに肘をつけて優しい微笑みで話し出す。
『素敵なパパになりそうだよね。』
「パッ!!!!!!!!」
思わず驚いてお皿を落としそうになる。
危ない危ない。
『ごめんね。緑谷君みたいなパパだったら良いなって思ったの』
変えずその素敵な笑顔を向けてくる。
小日向さんのパパだったらそりゃぁもう喜んでなりますよ。
はい喜んで!!!!!!!!!に決まってる。
「小日向さんの方がよっぽど素敵なお母さんになると思うよ」
『そ、、、そうかなぁ』
照れたような顔がまた愛くるしい。
本当に同じ人間なのか・・・。
「あ、もうこんな時間」
時計を見るとすでに19:30を回っていた。
『ごめんね、遅くまで引き留めちゃって。』
「いいんだ。すごく楽しかったし!!!その・・もし小日向さんさえよければ、なんだけど」
俯きがちにもじもじする緑谷君
「また、ご飯食べにきても、良いですか!!!」
小日向さんは一瞬驚いた顔をすると
『はい。喜んで』
と微笑んだ。心臓10個目がお亡くなりになった。
『あ、あと緑谷君』
「・・?」
『あ・・の。い、出久くんって、呼んでも良い?』
お互い、顔が真っ赤になっていたと思う。
「は、はい。喜んで・・・。じゃぁ、僕も夢翔ちゃんでもいいですか!!」
思わず敬語になる。
あ~。一体何個の心臓を失えば良いんだ。
『もちろんです。』