第1章 春
「もしもし?母さん?」
(出久高校でもう友だちできたの?!よかったねぇ!!!)
「っえ!そんな電話してこなくて良いから!!」
(もう母さん、嬉しくてっ)
「あー。うん。ごめん。心配ばっかりかけて。」
(いいんだよ!出久!ちょっとお友達に挨拶させて!)
「え!!いいいい!!そんなことしなくて良いから!!」
『緑谷君、グラタン出来たよ』
(まぁ!!!!女の子?!?!ちょっと出)
プープープー
『?電話終わったの?』
「うん!間違えてかけちゃっただけだったみたい。」(終わらせたんだけどね)
ソファーに座っている緑谷君を手招きしてダイニングテーブルへと誘う。
『麦茶でも良い?』
「何でも!ありがとう。」
目の前に置かれたグラタンにおなかが鳴りそうになる。
コトンとお茶が注がれたコップを前に置いてくれた。
『じゃぁ、食べようか』
パチン
『「いただきます」』
手を合わせ、挨拶して食べ進める。
「お、おいしいっ!」
『ほんと?』
「うん!すっごくおいしいよ!」
こんなにきれいで手作りのご飯もおいしくて
誰がこんな素敵な女性を放っておくんだろう。
『うれしいなぁ』
ふーふーっとグラタンを冷ます姿さえ息をのむ。
もし、僕が小日向さんと結婚したら、こんな幸せが毎日待っているのか・・・ッ!!!
こうして9個目の僕の心臓が天に召された。