第1章 春
ここが私の家。と小日向の表札がかけてあるドアの前に立つ。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ!!!!
じ、人生で初めて、お、女の子の部屋に!!!!
しかも、小日向さんの!!!!!!
動悸が激しくなりすぎて倒れそうだ。手に変な汗かいてきた。
ガチャ
『どうぞ。我が家へ』
部屋に入ると、白を基調とされたとてもきれいな部屋が広がっていた。
家具のチョイスもおしゃれで可愛い。こんな部屋にほんとに一人で・・・?
やっぱりお金も
『お金持ちじゃないからね。』
念を押されてう、うん。ごめん。と言葉に詰まった。
ソファーを指さして
『好きなところ座ってていいよ。』
といった彼女。あの指さし的にソファーに座ってってことだな。あ~どうしようどうしよう。二人の音しか聞こえない。普段でも何話したらいいか分からなくなるのに
余計に話題が消えていく。緊張、する。
『緑谷君、苦手な食べ物とかある?』
「な、ないよ!何でも食べれる!!」
『わかった。じゃぁ今日は簡単にグラタンにしよう』
グラタンのお皿を2つ用意して料理を進めていく小日向さん。
「?なんで一人暮らしなのにグラタンのお皿2つもあるの?」
少し攻めたような質問に『そ・・・それはっ』
と顔を赤くした小日向さん
『こ、高校でたくさん友だちを作って、一緒に・・・ご飯を食べたくて・・』
ズッギュウウウウウウウンッ
「そ・・・そうなん・・だね」
顔が赤いのは小日向さんなのに、まるで移ったかのように僕の顔にも熱があるまる。
ここに居続けたら多分、僕早死にする。心臓がいくつあっても足りない・・・ッ
それから数十分。他愛もない話を楽しんだ。僕の心臓は8個くらい無くなった。
「すごい良い匂いしてきた」
『もう出来るよ』
あ、そういえばお母さんに晩ご飯いらないって連絡するの忘れてたな。
ラインを開いて母にメッセージを送る。
(ごめん。今日友だちの家でご飯食べてくるから晩ご飯いらないよ。連絡遅くなってゴメン。)
送信っと
PRRRRRRRRRR
「あ、ごめん。母さんから電話だ」
『え、ごめん。今日用事あった?』
「いや、多分違うと思うんだけど・・・」
ピ
「もしもし?母さん?」