第1章 春
「リ、リカバリーガールの治癒はキスをして治してくれるんだ。」
『き、キス?!』
頭の中で爆豪が出てきた。あれはノーカウントだ。
「うん。体の細胞を活性化させて治癒するから体力をすごい使うらしいんだ。
だから今くたくただよ」
『そうなんだ!私も治癒されてみたいな~』
「だめだよ!」
驚いたように言う緑谷君に私が驚いた。
「だって小日向さんが治癒を受けるってことは小日向さんがケガをするってことだから、僕は、その」
治癒、してほしくない。
とうつむいた緑谷君の耳が赤くなっていた。
『今日ずっと思ってたんだけど、緑谷君ってすごく優しいよね。』
「え!?そんなことないよ」
『だって、私緑谷君のおかげで今日すごく心が温かい』
ニシシっと笑った顔に心がときめくのはもう決まっていて。
「ぼ、ぼくも、小日向さんと話すと心が温かくなるよ。なんていうか、こう、じんわり来るような」
『あ!一緒!!私もね、じんわりって感じなの!
きっとこういうのが幸せって言うんだね。』
あぁ、僕今幸せなんだな。
彼女の顔を見てそう思った。
その幸せそうな笑顔を僕が守りたい。