第1章 春
教室に戻ると緑谷君が一人だけで自分の椅子に座って居た。
『あれ、どうしたの?もうみんな帰ってると思ってた』
「あ、僕は・・えっと、手の治癒をリカバリーガールにお願いしてて遅くなったんだ」
『治癒終わったのに教室に残ってたの?』
「あ・・・それは」
緑谷君が言葉に詰まらせた。
「小日向さんと、まだ話したくて、待ってた」
ご、ごめん!迷惑だったよね!!とあたふたしてカバンを持つ彼に
『んーん。すごく嬉しい。緑谷君と一緒に帰れるってことだよね?』
小首をかしげるとブツブツ緑谷君が独り言を話し出した。
「そうか・・僕が一人で待っていたってことは一緒に帰ろうって意味と捉えらるのか。いや、その捉え方をされて救われたと言っても過言じゃない。これから一緒に帰れるし、互いの家が近ければ毎朝一緒に登校だって夢じゃない・・・」
『?緑谷君?』
「っあ!ごめん!」
我に返った彼は顔を真っ赤にさせて「じゃ、じゃあ、帰ろっか」
といって笑った。
緑谷の心中は荒れている。
人生で初めての女の子との下校!!しかも僕がきれいと思っている人というか好意を寄せている人で・・・どうしたらいい!?何話せばいい!?
あ~隣を歩くだけでこんなに幸せなのか。恋人になったらどれだけ幸せなんだろう。
いや、考えるのが早い。落ち着け落ち着け。僕。小日向さんとは今日会ったばかりだし気持ちを押しつけるのもよくない。
ここはラフに。軽やかに。
『リカバリーガールの治癒ってどうやって治してもらうの?』
触れあった視線に
ラフになんか出来ないいい!!!!!!