第1章 春
「嘘だよ」
パッと放された相澤の手は頭の上に乗せられた。そのまま数回なでた後
「もう周りはとっくに下校してる。気をつけて帰れよ」
といわれた。
私は『は・・はい。失礼します』
と言葉にして、会議室、職員室から出た。
未だに、ドキドキが収まらない。何だ・・・この気持ち。
ぎゅっと胸に手を当てて、その痛みに知らない顔をした。
「ちょっとイレイザー。さっきの子と何してたのよ」
「入学してすぐに呼び出しなんてやるじゃねぇかYEEEE!!!」
うるさい同期とミッドナイトにため息をついた。
「何もない」
「いやーでもあれは可愛いわ。イレイザーが好む気持ちも分かる。」
うんうん。
と頷く周りの職員にまたため息をはいた。
「あ!あと苦情が入ってって言い方よくないわよ!!!
女の子落としたいんだったらもっと優しくしなきゃ!」
「いや、生徒落としちゃだめでしょ。」
「可愛いイレイザーの生徒がドアの外にいたわよ。って私は言ったのに邪魔だって苦情が入ったなんて嘘ばっかり!!!!」
ミッドナイトが怒って説教が始まった。こうなると長いから厄介だ。
落としたいなら優しく、ねぇ。
優しくしたつもりだったんだが。
「ちょっと聞いてるのイレイザー!!!」