第1章 春
胸をとてつもない勢いで射貫かれた感覚を人生で初めて感じた。
この小説の詳細には、君から『おはよう』といわれて恋が始まる風なことを書いていたけれど
おはようのおの字も出てこない。
だけど、僕は確実に恋をしてる。
あれ。どうせ「何してんだクソノロマカス!!!!さっさと歩け死ね!!!!!」
なんていいながら爆豪君来ると思っていたんだけど、いつの間にか爆豪くんはいなくなっていた。
どこ行ったんだろ?なんて少しだけ気にしながら更衣室に行き、着替えを済ませた。
・・・・職員室・・・・行かなきゃだめ・・・?
だってもう除籍宣告されてるようなもんだし行きたくないってかもう死にたい。
職員室の前で立ち止まり、大きな扉を見上げる。
え?ほんと?はいらなきゃだめ?!絶対?
なんて言ってはいったらいいの?
「こんにちはー!相澤先生いますか!」
「ヤッホー!よばれてとびでてじゃじゃジャジャーン!」
「私を呼んだのは・・誰だい?」
相変わらずパーリーな思考を巡らせながら職員室の前をうろうろしていた。
それはそれは不審者だったと思う。
「はよはいれ。」
ガラッと開けられた扉から相澤先生が出てきた。
『超脳・・・力?!』
「馬鹿か。他の先生から苦情だよ。邪魔な生徒がいるってな。」
『あ・・ごめんなさい。』
しなっとうつむくと、相澤先生の大きな手が頭に乗った。
「言い過ぎた。半分嘘だ。」
『合理的じゃありませんね。』
そんな会話をしていると、本題だが・・・と相澤が話し始めた。
「今日の体力テストお前には不利だっただろう。」
『・・・え?』
拍子抜けな声がこぼれ出た。
「美貌と摂取。どちらも測定には向いていない。」
俺の個性も測定には向いていないからな。
と相澤が話す。え?何の話?除籍処分は?
「数字でいい点取れないからって諦めるなよ。対人戦、期待している。」
先生からの一言に涙がこぼれ落ちそうになった。
「お前は自分を卑下しすぎだ。もう少し自信を持て。」
再び大きな手を私の頭に乗った。
ポツリ、こぼれ落ちた。