第1章 春
そうして、残りの体力テストは無事に終わった。
爆豪くんはなぜか怒りに怒っていたけど。私、何かしたかな。
「んじゃ、パパッと結果発表。口頭で言うのはめんどくさいので、一括開示する」
そんな感じで除籍されるのかよ・・・。
と思いながら先生を見た。
相澤先生の持つ機械から、順位が表示された。
『最下位は・・・・除籍・・・。』
19位小日向 夢翔
20位緑谷出久
『先生、あの』
「なんだ?」
『私の点数、緑谷君にあげることは出来ますか。』
「ァ”?!何言ってんだてめぇ!!!!」
『私なんかよりよっぽど、緑谷君の方がヒーローに向いてる。
あんな決心の目を見たら、彼に、ヒーローになってほしいって思っちゃったんです。ここで終わりだなんてもったいなさ過ぎる。だから』
「ちなみに除籍は嘘な」
・・・。
時が止まったように感じた。
「君たちの個性を最大限引き出す合理的虚偽」
「「うわあああああああ」」
『馬鹿!!!先生馬鹿!!!さっきの私の言葉を返してえええええ!!!!
恥ずかしすぎて死にたい!!』
「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ。」
八百万さんの言葉が胸に突き刺さった
『じゃぁ止めてよおおお私が熱く語ってる時に止めに入ってよオオ』
「あんなに熱く語っていらしたら、その、可愛らしくって」
と頬を染めた八百万さん。プリプリお花を飛ばすんじゃないよ!!この野郎!!
「これでテストは終わりだ。教室にカリキュラムなど教材があるから目通しとけ」
『緑谷くん!よかったね』
「う、うん!」
「小日向」
『は、はい!何でしょう!!先生!?』
「終わったら?」
『・・・職員室ですねわっかりましたぁ・・。』
「小日向さん、大丈夫?」
『う・・うん』
さっき散々先生馬鹿とか言ったし、ここでは言わないけど後になって「あ、お前は除籍処分だから」とかないよね?ないよね?!
もう胃がキリキリしてきた・・
「あの小日向さん、さっきはありがとう。なんていうか、その、すごく嬉しかったというか、なんというか」
『?いいよ。全然気にしないで』
そう言って初めて話したときと同じ。
きれいに微笑んで僕にこういった。
『緑谷くん。君はとってもヒーローがよく似合うよ。』