第1章 春
「あ”?はよ、」
『ありがとう』
言葉を被せて微笑むと、爆豪くんが目を見開かせて一瞬停止したように見えた。
「わーっとるわ。はよ歩け。」
この人、ヴィランくんって呼んでたけど、本当は優しい人なのかもしれない。そう思うと今まで心の中で何度もヴィランくんと呼んだことを謝った。
心の中で。
「どこに行っていた。」
『あ・・・』
もう何回目だよ。私入学早々怒られることしかしてねぇよ!!
ごめんってごめんってば!!そんなに睨まないで!!!相澤先生いいいい!!!!
「クソに行ってたに決まってんだろ。」
「そういうことは担任に一声かけてから行くべきだ。」
え?それでいいの?それでいいの!?相澤先生?!
「小日向は?」
『えっと、わたしは、』
先ほどの出来事を思い出して、急に顔に熱が集まった。
え、待って私すごく恥ずかしいことしてたくない?!
え、あんな出来事をしてこいつ「クソしてきた」とか言えたの?!こいつの神経うんこや、
「小日向はテスト後、職員室に来い。」
はい。除籍~
心の中でチャイムが鳴っていた。
「さっさとテスト再開しろ。合理性に欠ける。」
爆豪とわたし、並んでスタート位置についた。
「位置について、よーい、START」
機械音からきこえた合図に、爆豪は両手の爆発を器用に使って「ウラアアアアァ!」と雄叫びを上げながら記録を伸ばしていた。
よし。私も
両手に力を入れて、BOM!と個性を爆発させ、浮いた。
よし!!いいぞ!!!足を上げるとほぼ同時
体が回転してコケるように地面に落ちた。
え、、、なんで?
記録28センチ
まって。普通に飛んだ方が遠くまで飛べたんですけど。待って!!!!
『相澤先生!!!!間違えました!!!!今のコケてしまって!!!!もう一度させてください!!!!!』
ゴール地点にいる相澤に届くように大きな声を張り上げると
「合理性に欠ける」
と言って次の種目へ歩き出した。
爆豪くん・・・・許さん!!!!!!!