第1章 春
~立ち幅跳び~
「・・このテストじゃお前の個性使えねぇな。ザコ。」
爆豪くんが私の隣を歩きながら嫌みを言う。
『そうだね。こりゃ除籍処分かな。』
なんて苦笑いをすると、じっと目を見つめてきた。
『・・・なに?』
「DNAって、何でもいいのかよ。」
『・・・は?』
この人は何言ってるんだ。DNAだったら何でもいいかって?!しらねぇよ!今まで使ったことねぇんだよこっちは
『わかんない・・』
「はぁ?!てめぇの個性くらい把握しとけや!」
『だ、だって、“摂取”の個性は病院の先生に言われて診断を受けたけど、血を舐めるなんて怖くて使えなかったし』
「あ”?!DNAだったら何でもいいんじゃねぇのかよ」
『だから知らないってば!!』
半分口論になりながら話す。
「・・・(まさか)」
切島は顔に汗を浮かべながら二人のけんかを見ていた。
多分俺が思ったことと同じことを爆豪は思ってる。
でも、その個性を使うなら
「ちょっと面貸せや」
『えっなんで?!え?!なんで?!』
めちゃめちゃビビっている。だってこの人何するか分からない。顔怖いし、目怖いし、顔怖いし声大きいし!!!
校舎近くの水道まで腕を引っ張られた。
『ねぇ、本当に帰ろ?!このテストで私怒られっぱなしだかっ』
まだ言葉を続けるはずだった。
早く帰ろうという一心で
だけどその言葉は、爆豪君の口によって止められた。
『んっなっに』
頭だけをガッと捕まれて無理矢理された深いキス。
ドンッと厚い胸板を押した。
『ふ、ふざけないで!!急に怒ったり、罵ったり、こんなことしたり・・・なにがしたいの?!??』
頭はショート寸前で、真っ白になっていた。
「あ”?んのままだとお前が除籍になんだろ。」
『はぁ?!意味わかんないんですけど!!』
「DNAだったら何でもいいんだろーが!試してみろや!俺の個性!!」
何言ってんだこいつ。
頭で失礼なことを考えて数秒、自分の使ったことのない個性を思い出した。
自分の手を見つめて火をイメージする。
BOM
爆豪の個性だ。
もしかして、私を除籍にしないため・・?
「さっさ帰んぞ。はよしろ。」
思わず停止していた頭の回路をフル回転させた。
フル回転させて、精一杯考えた言葉
『ねぇ、爆豪くん』