第1章 春
えーーーーーっと
そう言いながら迷う私を見て、切島君はいった。
「答えたくねぇなら、無理に言わなくてもいいよ。」
それはそれは、優しい表情で。
『うん、ごめんね』
「知られたくないこととかあるもんな~。」
目線を他に外した彼になんだかとてつもなく申し訳ない気持ちになった。
「え、自分の個性なのにいいたくねぇの?」
『え、、、あ』
雷君が空気も読まずに横からにゅっと出てきた。
「お前、そういうのやめろよ。女が嫌がってることするな。男らしくねぇ」
「ええええ?!だって個性っしょ!?自慢してヒーローになるようなもんじゃないの?!」
・・・確かに。
できるなら、個性でたくさんの人を救いたいって思ったんだよね。
「・・・まぁ。確かに。」
似合わないといわれてきた個性を使って
私だって、ヒーローに
なりたい。
「お前、散々俺にヴィランくんとかほざいてたくせに、そんなに個性隠して何がしてぇんだ。どうせヘボ個性だろ。」
聞き耳を立てていた爆豪も会話に入り込んできた。
「なんでここのクラスって空気読まないやつばっかなの?」
切島君が頭を抱えだしたところで、やっと決心がついた。
『・・・私の個性ね、2つあるんだ。』
それからの話は三人だけじゃなくて、なぜか周りにいた生徒がぞろぞろと集まって話を聞かれていた。
「おい、テスト中だ。そんなにお話ごっこしたいならよそへ行け。」
相澤先生からのことばに急いで握力測定をした。
記録 28