第1章 春
~握力テスト~
やばいやばい。このままはやばい。
いや、でもまだ7種目あるし。ダイジョーブ。
「次、俺が使ってたのでもよければ」
赤髪の男の人が私に握力測定器を渡してしてくれた。
『ありがとう。』
「お、おう。」
髪と同様、顔をほんのり染めながら話題を切り出す。
「俺、切島鋭次郎。あんたは?」
「小日向夢翔だよ。」
「どんな個性なんだ?」
『えっと、、、えーーっと、、、』
私は、自分の個性をいうことに抵抗がある。
この顔で美貌とかふざけてるし
DNA摂取することで相手の個性をコピーだなんてまるでヴィランじゃないか。
そんな偏見をかなり昔から持っていた。
私は、小学校、中学校といじめられてきた。
「おまえさ、ブスだから個性の意味ないよな。美貌とか乙すぎw」
「それな。そんな汚い面してよく外出歩けるよな。」
まぁ、私も悪いところがあったんだと思う。
髪なんて長くてほとんど目が見えてなかったと思うし、コミュニケーション皆無だったし。
小学校でいじめられて、中学校では、いじめがなくなると思っていた。
だって、私のことを知らない人が、たくさん同じ中学校に入学するんだもの。
実際、仲のいい友だちが入学早々に出来た。
嬉しかった。
そう思った矢先
「あいつマジ性病持ちだから近寄らない方がいいよ。」
「アイツと話したやつ呪われるってよ」
「キモ」
「近寄らないでくれますか?なんか移りそうだから。」
そんないじめられていた過去と、ありもしない噂はあっという間に広まって
私はまた、一人になった。
どこかに行きたい。
私のことを誰も知らないところ。
そして、私は実家を出て、遠く離れた雄英高校に入学。
一人暮らしが始まった。