第1章 春
私と並んだのは、キラキラしたベルトをつけた人だった。
「このベルトヤバくな~い?」
『何が?』
若干の緊張と焦りがあり、冷たく当たってしまった。ごめんね。
「僕は青山優雅さ」
『そう。よろしくね。』
そう言って挨拶をした後、ピッと相澤の笛がなる予定だった。私の頭の中では。
待て待て待て!聞いてない!!!測定って普通人がするじゃん!人がぴって秒数とか測るやん!!!なんで機械やねん。ハイテクかよ。現代社会め!!!!!
私は相澤を操ってタイムを誤魔化そうと考えていた。
私に、少しでも心が揺らいでいたかは、分からないが、それに一か八か掛けていた。
もうだめだ。絶望した。
普段通りに走る。
隣はベルトからレーザーを出して駆けていた。
途中で落ちていたけど。
「レーザー1秒以上出すと、お腹壊れちゃうんだ」
と、青山君は細かく震えながらトイレに駆け込んでいた。
なんだあの人。
私の記録、6.7秒
普通の人と何ら変わりない。このままだと、落ちゃう。