第3章 雄英体育祭
席について雷くんの無残な姿を横目で見た。
『あ~あ。』
「夢翔ちゃん、か、雷くんと付き合ってるの・・?」
『ん?付き合ってないけど』
「ふう。そっか!よかった」
出久君はそう言って眩しいほどの笑顔を向けて前を向いた。
トントン
肩をたたかれ、振り向くと、勝己くんの指が刺さった。
『む、なに?』
「てめえも簡単に手とか繋いでんじゃねえ。」
『分かったよ。お父さん。』
「だーれがお父さんだ!!殺す!!」
ギャーギャーと騒がしくなったころ、相澤先生が教室に入ってきた。
「朝から元気良すぎだ。少しは静かにしとけ。」
「「「相澤先生復帰はや!!!」」」
包帯でぐるぐる巻きになった相澤先生がに思わず駆け寄る。
『!先生ッあの、お体は、大丈夫ですか・・?』
「あぁ。お前が来てくれたおかげでこの程度で済んだよ。」
そう言って優しく頭をなでてくれた。嬉しい。
私が足を引っ張ってしまったことを気にしてるのがバレてるんだろうな。
「あとそれから、あんまり目立った真似はするなよ。小日向」
『えっ!私?!』
「お前しかいねえだろうが」
『え!!なぜ?!』
「小日向はただでさえヴィランに狙われている可能性が高い。マスメディアには極力お前の情報を流さないように話しているが、全く通じてねえ。」
『私が、狙われてる・・?』
「確かに。あのとき、死柄木と呼ばれていた男は夢翔ちゃんを連れ去ろうとした。メディアに取り上げられると夢翔ちゃんの位置情報がばれる。そうすると格段に狙われやすくなるって事だね」
『・・・。』
緑谷がみんなにも理解できるように説明してくれた。うむ。分かりやすい。
記憶が曖昧だが、確かに、持って帰るとか・・言われた・・・ような
「だから変装でもして町中歩けよ。」
さらっと言う相澤先生に目が飛び出るかと思った。
いや無理じゃね?!
相澤が密かに思う「敵が増える。」という考えは言葉にせずにうわべの言葉を生徒の前で口にしていた。