第13章 君の知らないところで
降谷零side
愛車に乗り込み、風見から受け取った資料に再度目を通す。
この1週間、霧島と例の写真の男、そしてジンについて調べた。
霧島のことについては相変わらずこれといった情報は出てこなかったが、あの男とジンについては少し分かったことがある。
あの写真の男はトランプという黒の組織の次に危険視されている組織の男だった。
トランプという組織は黒の組織とは違い殺人を楽しむ狂った集まりのようで、そこのボスは私利私欲のためならどんな手でも使うとか……。
なぜ霧島がこのトランプの組織の奴らと関わりがあるのかはわからないが、危険なことになっているということは間違いないだろう。
霧島に眠らされてから組織や彼女が働いていたアルバイト先にも顔を出さなくなった日が同じ。そして、彼女は高確率であの写真の男と出会ったに違いない。
ジンについては、ベルモットから色々情報をいただいた。突然単独行動を始め、何か焦っている様子があったり血眼になってトランプという組織について調べているということを。
ジンが単独行動をとっているということから、上にはまだ霧島……シャルトリューズがトランプに入ったということは言っていないのだろう。もし、そんなことを言えば彼女を殺すように命令が下るからだろう。
そうなる前に1人で何とかしようとしている……といったところか。
しかし、トランプがそこまでして霧島にこだわる理由はなんなのか。
それはジンが知っているはず。
そうとなれば……直接本人に聞き出すしかないか。
運よく今日の組織の案件がジンと共に行動をとるようになっている。
俺はメールをチェックし、指定された場所へと車を走らせる。
とあるバーに着くとジンはイライラした様子で酒を煽っていた。
ジン「おせぇ。」
「何をそんなにイライラしているんです?指定された時間よりも10分早めに来ているんですが……。もしかしてシャルトリューズと関係が?」
うまく行くかはわからないがカマをかけてみる。
ジン「……なんのことだ?」
ジンはあくまでしらを切るつもりらしい。