第13章 君の知らないところで
仕事部屋の机に資料をばら撒く。
ハートのエースについては少しは知ることが出来た。
ハートってこともあり、慈悲はあるらしい。このトランプに不似合いな人ね。
そういえば、監視カメラ……。
つい数時間前私の部屋に来たダイヤのエースは私が調べ物をしている間、ずっと部屋にいた様子。
パソコンに映るモニターを操作する。
そこに映るのは何かを探しているダイヤのエース。
私をトランプに引き入れたのも、両親が知ってしまった秘密を私が持っている……または知っていると踏んでのことね。そこにジンにぃが嗅ぎ回っているということを知って、餌にしたってとこかな。
私の知る限りではトランプが欲しがってるものは私の左手のなか……。
少し寝るか。
眠気が襲ってき、ふあっと欠伸をする。
いつになったら安心して眠れるのか。
寝ても覚めても危険な状況。早くジンにぃと寝たい。
我慢我慢。私がトランプを潰すまで。私がトランプにいる限りジンにぃは安全。
お願い……黒の組織とは睨み合いっこしてて。頼むから全面戦争みたいなことはやめて欲しい。
スマホを見ると黒の組織からの情報依頼だった。
「今日も眠れないのか……。いや、眠れる日なんて来るのだろうか。」
私は重たい腰を上げてパソコンを切る。
とりあえず気分転換に部屋から出るか。
ガチャ
部屋を出れば、腐敗臭が廊下に漂う。
なにこの酷い臭い……。
今にも吐きそうな臭いにむせ返る。
「ゲホッ……ゲホッ」
嫌な予感と耐えられない臭いに私は部屋に戻る。
「なんなのあの臭い。血なまぐさいような……。」
せっかく気分転換しようとしたのに逆に気分を害されてしまった。
今日はついてない。もう外に出るのはやめよう。
そういや……なんだかんだ……急展開だったな。
少しはほのぼのとした日常が欲しいよ。