第12章 それぞれが守りたいもの
私がトランプのクラブのクイーンとして席についてから3日。特にこれといったことは起きていない。
組織からの依頼もトランプからの依頼も今のところデータだけのやり取りで済む程度。
あぁ、変わったことといえばスナックを辞めたこと。ママには悪いことをしたなと思っているがこれもママを危険な目に合わせないため。
突然やめたことをママは怒ってるだろうな。
それから、今はトランプが日本に置いている拠点で生活をするようになったことだろうか。
?「クラブの女王さーん!」
ノックもなしに部屋に入ってきては私に抱きつこうとするダイヤのエース。
私は抱きつかれる前に男の急所とやらを蹴ってやった。
ダイヤのエース「う……ひ、酷い……。」
床に崩れ落ちて痛みにもがくダイヤのエース。
「あら?そんなに床とキスがしたかったの?手伝って差し上げても良くてよ?」
ダイヤのエース「遠慮するよ……。」
フラフラと立ち上がればダイヤのエースは写真を1枚渡してきた。
「だれ?」
ダイヤのエース「俺の部下の1人だ。最近怪しくてな。調べて欲しい。」
公安やFBI……ジンにぃとは関係がなさそうね。
「対価は?」
ダイヤのエース「ハートのエースのことについてなんかはどうだ?」
「いいわね。交渉成立よ。」
私は写真をまじまじと見つめてはパソコンのある部屋に向かう。
「それじゃ私は仕事をするから出ていってね。」
仕事部屋に入れば鍵を内側から閉める。
はぁ……びっくりした。
まさかダイヤのエースがくるなんて。まぁ、スペードのエースよりマシかもしれない。にしても、ハートのエースについて話してくれるのは好都合だ。
私は手渡された男についてパソコンで調べる。
その部下については数時間足らずで調べることができた。
まさかFBIの1人だったとは。
潜入捜査っていったところかしら?
ごめん赤井さん。貴方は方の人を1人死なせてしまう。
許してとは言わない。
今まで私はたくさんの人を殺してきたのだから。
それがたとえ直接手を下さずとも。
私は仕事部屋から調べた資料を片手に出る。
するとソファに寛いでいるダイヤのエースがいた。
「ずっといたの?」