第12章 それぞれが守りたいもの
ダイヤのエース「あぁ。暇だった。」
なら帰れよ。と思いつつ資料を渡さずに向かいのソファに座る。
「先にハートのエースの情報をいただいても?」
ダイヤのエース「あぁ、いいぜ。あ。それ1個しかないから後で返してくれる?」
ダイヤのエースはUSBメモリーを私に渡すと私の持っている資料に手を伸ばすが、その手を払いのける。
「馬鹿にしないでどうせこのUSBハッキング用でしょ?私は紙でじゃなきゃ信用できないんだけど?」
ダイヤのエース「ちぇー。なんでわかったのさ……。まぁいいけど。はいこれ。ハートのエースのスマホ。くすねといた!」
は?
突然ハートのエースのスマホを渡された。
ダイヤのエース「え?なに?不満だった?でもこれ結構くすねるの大変だったんだよ?」
そういう意味では……まぁいいか。
「本物らしいし……はい。」
私は資料をダイヤのエースに渡してスマホをまじまじと見つめる。
ダイヤのエース「ほーん。やっぱりネズミだったかー。」
ダイヤのエースは資料をパラパラとめくり不敵な笑みを浮かべる。
ダイヤのエース「さすが親子の血が流れてるねぇ。見やすさだけでなく必要な情報の取捨、そして細かいところまで……。」
親子の血か……。そんなもの切れてしまえば私やジンにぃはもっと楽しく過ごせたのだろうか。
ダイヤのエース「教えてやろうか?お前の両親のこと。」
その言葉にピクリと体が震える。
その反応をみてダイヤのエースはクスクス笑う。
ダイヤのエース「バーカ!言うわけねぇだろ。ボスからも口止めされてんだ。」
あぁ、なんて野郎だ。ほんの少しでも希望が見えたと思ったら地獄の底へ突き落とすような真似をしてくれる。
「別に誰も教えてくれとは言っていない。」
ダイヤのエース「ふーん?」
ダイヤのエースは面白くない私の反応に不満気な表情をしていたがすぐに部屋を出て行った。