第10章 日常が来ない
正論でぐぅの音もでない。
しかし、あの男を捕まえるとバーボンに危害が加わる。確実に殺される。そうなれば黒の組織とトランプの全面戦争となる。黒の組織とトランプの戦力では圧倒的に黒の組織が優位だが、トランプは少人数であるが故に一人一人の力は強い。そして黒の組織とトランプの違いは、黒の組織は何か目的のために動いているとしたら、トランプは自分たちの快楽を求めた組織。
殺人鬼の集まりと言っていい。殺すことだけに快楽を求め、どんな汚い手さえも使う。
「やめておいた方がいい。何か嫌な予感がする」
バーボン「それは?」
「女のかんよ。」
しかし、今の発言でバーボンは確実にあの男のことを捕まえて調べるだろう。
どうする?
ジンにぃに連絡をするか?……ん?まてよ?
ジンにぃとの連絡が取れずに1週間前、ジンにぃが単独行動を始めたのも1週間前、このトランプがもし1週間前から送られていたのなら……。1週間前、ジンにぃとたまたま外で……。たまたま?本当に?もし私の郵便受けに入っていたトランプを見て外に出ていたのでは?
根拠はないが可能性は高い。
ジンにぃは1人でトランプに関わろうとしている。
それだけはダメだ。ジンにぃが殺される。あんな組織に1人でなんて無謀だ!!
どうする。
考えろ。
足りない頭で考えろ。ジンにぃを守るために私にできること。私だけでは確実に力不足。
目の前を見るとバーボンと目が合う。
ダメだ!無関係な人を巻き込む訳にはいかない。
落ち着け……焦るな。
ジンにぃだって馬鹿じゃない。ここはこちらから接触しにいくしかない。
「ねぇバーボン。」
バーボン「なんでしょう?」
「その男のことについては私に任せてくれない?」
バーボン「なぜです?」
「私に用があってこの家をウロチョロしているんでしょ?なら私か接触して理由を聞いた方が早くない?」
バーボン「確かにそうですが……。ダメです。」
「なんでよ?」
バーボン「危険だからですよ。貴方は情報屋であって人を1人殺したことは無いでしょ?万が一逃げられる方法や相手を殺せるんですか?」
確かに。
身体面に関しては一般人と同等。拳銃に関してはジンにぃに教えてもらってはいたが使わせて貰ったことは無い。