第5章 初任務
バーボン「いいお話ですが、それを買うのは今度にしましょう。」
「それでもいいけど、早いとこ買っとかないと他のやつに知れ渡ることを頭の隅に置いといて。あぁ、ここでいいよ。」
車が止まるのを確認してから降りる。
「それじゃ。情報を買いたかったら連絡して。」
バーボン「えぇ。」
車が見えなくなるのを確認すると家に向かって歩き出す。
流石に家まで送ってもらうのはね。情報屋としてはアウト。そこに大切な情報があります。盗んでくださいと言ってるようなもの。
ん?
あんなに情報を欲しがってたバーボンがすんなり身を引いた?
あの男がこのチャンスを逃すはずはない。
私は服を徹底的に調べると1個だけでなく2個も発信機が付けられていた。
「恐ろしい男だ。」
発信機を潰して家に帰った。
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車を走らせながら今日初めて組んだ渚……いや、シャルトリューズの事を考えた。
最初はどうなるかと思ったが、シャルトリューズはただの子供ではないようだ。仕事へのスイッチを切り替える時、見惚れる程に可愛かった事を覚えている。
月明かりに照らされてジンと同じ銀の髪は幻想的にひかり、紫の瞳は紫よりも深い闇を抱えながらも妖艶な雰囲気だった。
そして、ジンと似た冷酷なあの視線にゾクリと寒気を覚える。
あの子の抱える闇は計り知れない。
そんな気がした。
そして、任務後に見たシャルトリューズのパソコン。
情報屋として名乗るほどの能力は確かだった。情報をまとめる能力。そして必要な情報を取捨選択する能力。全てが完璧だった。
なによりも俺が驚いたのはメールの時間間隔だ。通常、短文であっても送信時間や受信時間などを含めて早くても1分はかかる。
それをシャルトリューズは1分以内に長文かつわかりやすい文を送っているのだ。
「フッ……。」
ジンに気に入られ、これほどの情報処理能力、情報収集能力、魅力を感じさせる容姿。
俄然興味しか湧かない。
これから少し面白くなりそうだ。
助手席に置いたスマホの画面を見つめる。そこには地図と赤く点滅するマークがあった。