第5章 見上げた先のものより...
でも、その手は握れなかった。
二宮くんの
ほんとの気持ちが
わからないから....
フラれるのが、怖いから....
でも、キスしたいって
思ってしまう。
雲の上の人だったのに。
会えなくてふつう。
話せなくてふつう。
そんな人だったのに。
二宮くんの瞳を見つめるたびに
気持ちが止まらなくなって行く。
私、わがままだよね?
「のどかちゃん?」
二宮くんの声に
ハッと我に帰ると
ほほに涙が伝っていた。
....最悪....
二宮くんの前で泣きすぎ...
めんどくさい女だなって
思われてるよね....
『....すいませんっ.....
もう、めんどくさいだけですよね
すいませんっ.....
告白も、忘れてください....』
怖くて、
二宮くんの顔なんて
見れなかった。
流れる沈黙が私の心を震わせた。
今、どんな気持ちで
二宮くんは私のことを
見つめてるの?
私の気持ちは、
届いてますか??
「あーっめんどくせーな!!」
二宮くんが急に
私の手をひっぱり立たせる。
そして、また壁どん....
「のどかちゃん?」
『は....はい。』
私の目を射抜くように見つめる。
その瞳に、
吸い込まれそうになる。
「俺ね、いるんですよ」
『え....と...なにが...ですか』
「すきなひと。」
そう言って二宮くんは
妖しくほほえむ。