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それはやっぱり君でした。

第3章 交わっては、いけない。



そう考えたら
ほんとにあくびが出た。




すぐ手で隠したけど、
二宮くんと目があってしまう。


二宮くんは
ふわっと優しく微笑んだ。



『俺、そろそろ帰ろっかな?
子どもは寝る時間ですし?(笑)』




「え....もう、帰るんですか...?」



頭をがんと打たれたような
気分になった。


二宮くんとの時間が
終わってしまう




『うん。おじゃまして、ごめんね?
コーヒーうまかったよ。」


そう言って
にこっと笑う二宮くんは
やっぱりずるい。


そんな顔されたら
どんなことでも許しちゃうよ。





二宮くんはいいって言ったけど
玄関までは送っていった。


二宮くんの
男っぽい広い背中が
すぐ目の前にある。

こんな近くで見られることなんて
きっともう、ないだろうな。




靴をはき終わって
ドアを開けようとして
二宮くんはこっちを振り向く。



『.......おやすみ。』



いつもとは違う、低く、甘い声。

そんなトーンでしゃべられたら
なにも言えないよ....




何も言えずに
黙っていた私の頭を二宮くんは
また、優しくなでてくれた。




ゆっくりと流れる、
2人の時間。


このまま、
時がとまっちゃえばいいのに...






そして、とろけそうな
口元だけの笑顔を余韻に残して
彼はドアを開けて出て行った。






ゆっくりと、ドアが閉まる。

いきなり強い風が吹いた。


その風は勢いよく、
二宮くんとの時間を
遮ってしまった。




「...あっ...」



それで私は我に帰り、
ドアを開けて外に飛び出す。



二宮くんは、どこ?









深まってしまった夜に、
もう彼の姿はない。

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