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それはやっぱり君でした。

第3章 交わっては、いけない。



*和也side



泣いている彼女の
頭をなでてやることしか、
できなかった。



抱きついてきた彼女を、
抱きしめることも
なぜかできなくて。




俺って、情けねーなあ....



俺は立ち上がって彼女に言った。




「こんなとこでいたら、
かぜひくから。
家、どこ?送るよ。」




彼女に手を差し伸べると、
真っ赤な目をして俺を見上げた。



女の涙には強いはずの俺が
その顔に心を動かされてしまった。




「ほら、いくぞっ」



耐えきれなかった俺が
彼女の手を取って立たせる。




彼女はずっと
下を向いたままだった。



そりゃあ、ショックだよね。








彼女が小さい声で
道案内するのを聞き、
彼女の小さな手をひき、
小さなマンションについた。



その時間は、
あまりにもあっという間で。



「ここ?...じゃあ、またね。
もう、こんな時間に
外出たらだめですよ?」




俺は言いようのない気持ちが
胸にあるのを感じながら歩き出した。










『に、にのみやさん!!!』



彼女が大きな声で俺を呼ぶ。



ふりかえると、
彼女は一瞬息をのんで、


『あの、お茶...
でも飲んで行ってください。
助けて....いただいたので...』




俺は一瞬
了解してしまいそうになる。



だめだろ。

高校生ですよ。



嵐のファンですよ。








「こんな時間に、
親御さんに迷惑ですから(笑)
帰りますよ。」





彼女の顔が見るからに曇った。




そんな顔されたら
帰りづらいじゃないですか。






『あっ、その....
親...いないんです。』



耳を疑った。




「はい?高校生ですよね?」




『だから....あがってください。』




彼女の赤く染まった頬を
俺は見てしまった。



もっと、知りたいって
思ってしまった。








いいですか?今日だけ。




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