第1章 ヘリオトロープ 《切原赤也 R18》
「ん…っ!ふ、ぁ、ん…ん!?」
突然の事には目を白黒させながらもがくが、今あの人達に見つかるわけにはいかない。練習を抜け出したとバレれば間違いなくビンタは免れないだろうし、そんな姿をに見られるのは絶対にゴメンだ。
狭い教壇の下での口を塞ぎ、ぎゅぅっと身体を寄せ合って足音の主たちが通り過ぎる事を必死に祈る。
「赤也の奴、自ら練習試合に参加したいと言っていたが一体どういう風の吹き回しだ」
「何かしらの理由があるのだろうが、良からぬ理由の確率89%といったところだな…」
「後で様子を見に行ってみるか」
「ぁ、かや…ん…くるし…っ」
「し…っ!」
足音はそのまま教室の前を通り過ぎるだろうと安心したのか、がもごもごと喋ろうとするとぴたりと足音が、止まった。
「む?ここは、赤也の教室…か?」
「弦一郎…?」
「女子の声がしたような気がしたんだが…」
ガラッと引き戸が開き、お互いの心臓が早鐘のように鳴っているのが肌で感じられる。
の女子特有の柔らかい身体が、柔らかい唇が微かに震えている。しかし、こんな緊迫した状況だというのに、赤也はそんなの姿に加虐心が刺激されていくのを自覚していた。
「気のせいか…しかし、電気がつけっぱなしだな、まったく」
パチッと電気が消され、改めて扉が閉められると今度こそ足音は教室の前から遠ざかっていった。暫くして、の身体から力が抜けて、苦しさと緊張で潤んだ瞳が所在なさ気に振り返る。暗く狭い教壇の中でそれが更に赤也の熱を滾らせた。
「あ、赤也く、ふ…んん??」
の口を塞いでいた指を強引に口腔内に侵入させると、柔らかな舌のざらついた感触が指先を伝ってゾクゾクと快感となって全身をかけ巡る。
「もっと、舐めて…」
わけも分からず、言われるままは赤い舌で指先を舐めた。
「ふぁ、ん、ちゅぅ…っ」
時に指先に吸い付き、ぴちゃっと微かな水音をたてながら、まるでアイスキャンディーを舐めているような気分で赤也の指を食んだ。
自然と唾液が溢れ、口端から顎を伝い落ちる様は酷く扇情的で、赤也は堪らなくなって指を抜いた。
「の顔、めちゃくちゃエロい」
顎を伝う唾液を舌で舐めとり、そのまま濡れた唇にキスをした。