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短編《テニスの王子様 R18》

第1章 ヘリオトロープ 《切原赤也 R18》


試合は赤也の得意とするスピードプレイで早々に決着がついた。
そもそも、今日の練習試合は正レギュラー向けに組まれたものでは無かったので赤也が手こずる筈もなかったのだ。

他校の生徒であるがレギュラー陣に見つかると面倒だと言う理由から、「経験を積むためのムシャシュギョーっスよ!」とそれらしい事を言って真田を丸め込み、2軍の練習試合に参加していた。

試合を終えてコートから出てきた赤也は、汗一つかくこと無く立海側のベンチへと戻る。
他のチームメイトがいる手前、離れて応援するの側に行くことは流石に憚られた。

しかし、どうしても気になってチラリとの方に視線を向けると瞳を輝かせたが興奮冷めやらぬ様子でぱたぱたと尻尾を振る幻影が見えてしまったので、たまらずベンチから立ち上がった。

「コーチ、俺クールダウンしてくるッス!」



***


「!こっち!」


ちょいちょい、と手招きをしてを呼び寄せると、そのまま校舎の中へと入っていく。私服のは遠慮がちに来客用のスリッパを拝借して校内へと足を踏み入れた。

出来ればと二人きりになれる場所が良い。
今日は日曜日だし、部室よりは適当な空き教室が良いか…と自分の教室を目指す事にした。

「赤也くん、さっきの試合凄かったです!本当にあっという間で、格好良かったです!」
「へへっ、まぁ俺にかかればざっとこんなもんよ」
「テニスのルールも覚えてきたし、私もテニス部入ってみようかな…」
「え…いやー、それは…チョット…」

例え女子テニス部だとしても、青学の奴等が俺の知らないところでスコート姿の(想像しただけでヤバい)を目にするのかと思うと、それはかなり面白くない。

目的のクラスに着いたので、ドアの隙間から中の様子を伺う。いつもの喧騒が嘘のようにしんと静まり返っており、ただ整然と机と椅子が並んでいる。

「OK、これでやっと落ち着けるぜ」
「赤也くんの教室ですか…?」

物珍しそうに教室内を眺める姿も子犬のようで愛らしい。

「ところでさっきの話だけど…」


その時、廊下の方で複数の足音と聞き覚えのある話し声が聞こえてきた。ヤバい、と咄嗟にの腕を取ると、教壇の下へ潜り込んだ。

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