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徒然なるままに【文豪ストレイドッグス】

第4章 探偵社女子、マフィア男子


「大切な人が死んじゃったら、残された人は苦しいだけよ。自分のせいで相手が死んだ、って十字架をずっと背負い続けることになる」
 
 折角兄妹仲良しなのだし、ちゃんとお互い長生きしないとね。わたしはくすりと笑ってそう云った。

「……そう、ですわね。でも私一旦死にかけましたわ、色んな意味で」
「それはどう云う……?」
「だ、だって! お兄様が私の事をお姫様抱っこして下さったのですよ!? それに『よくも僕のナオミを傷付けたね!』って……ああっ!」

 ナオミさんは赤くなった顔を隠しながらブンブンと横に振った。格好佳いですわ〜! と照れながら賑やかに話す。そんな彼女を見てわたし達三人は微笑ましく思っていた。

「鏡花ちゃんは?」
「私は『夜叉白雪』……最近、出せるようになったの」
「最近?」

 わたしが疑問に思って尋ねると、鏡花ちゃんはこくりと頷いた。

「最初はね、携帯に掛かってくる電話の声にしか反応しなかった。芥川と云う男の声で白雪は敵を木っ端微塵にしてた」

 夜叉白雪の行動に、鏡花ちゃんの意思は関係無かったと云う。

「その時会ったの、虎の人に」

 敦くんは二回も鏡花ちゃんを助け、デートもしてくれたらしい。デートの時はお財布を見て泣いていたらしいけど。
 思わずくすくすと笑うと、三人はほっとしたように微笑んだ。

「泉さんは何か異能力を持ってらっしゃるの?」

 ナオミさんに聞かれ、わたしは少し戸惑った。ライブラリは強力かつ危険すぎる異能。此処の人達に話す事で皆に被害が行くことは無いだろうか? わたしの所為で、皆が危険な目に遭う事は無いと言い切れるだろうか? 皆強いと知っていても、その不安は拭えなかった。

「……いいえ。特には無いの」

 だから、わたしはそう答えた。隠し事をするのはとても苦しいけれど、この異能は自分だけが知っていれば善い。無闇に教える事でも無いだろう、この時はそう判断した。

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